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関根デッカオ's 不肖動静

筆者の頭部に、大きさなりのはたらきを見せてもらおうという試みです。

断髪式の夜

日記 お店

 所用のため、かつて通った大学へ。在学時の正門前には、インドカレー屋や牛丼屋が割拠していたように記憶しているが、いまやその地位はラーメン屋に取って代わられたらしい。どこもアブラギッシュなビジュアルを前面に押し出しており、歩いているだけでも胃がもたれる。水曜日で講義が少ないためか、学生の姿はそう多くなく、当初危惧していたよりも気おくれせずに済んだのが幸い、といったところだろうか。

 

 事務的な手続きは早々に済ませ、大学亭という名の定食屋に入る。何度も通った店である。外装、内装ともにこれといった変化がないことに安心するも、おばちゃんの腰はいくらか曲がっているように見受けられた。唐揚げ定食を注文。外食ランチがカレーでなかったのは、職務都合によるラーメンなどを除けば、久しぶりのことかもしれない。ほどなく眼前に供されたそれは、相変わらずのドカ盛りであった。ここはメインの量もさることながら、添えつけの野菜も同様にドカ盛りである点が素晴らしい。肝心の唐揚げは抹茶塩で食べるようになっているが、ついついつけすぎてしまい、右手の力加減にブランクを感じるばかりであった。その後、黙々と食べ進めるも「少なめに」と頼んだご飯を半分ほど残してしまった。申し訳なさを反芻する僕のすぐ隣には、悠然と日本昔ばなし盛り(並盛り)のメシをかっくらう男。テレビではワイドショー。厨房のおっさんの奇声とも取れる「ありがとうございます」。往時と変わらぬ光景が、そこにあった。

 

 ノスタルジーと引き換えに恐るべき腹部膨満感を得た僕は、次いで調髪に向かった。1時間半ほどかかって「断髪式」の名を冠するにふさわしい、おぞましい量の毛が美容室の床を這っていった。担当のお兄さんいわく「開店以来の毛量」とのことで、素直に喫驚する。とりあえずは頭皮、頭髪ともに良好との評までいただき、過剰なほどの安心感に浸りつつ店を出た。

 

 いままで首元を覆っていた毛がなくなると、12月の風はやけに冷たく感じられる。マフラーとしての機能を果たしていたのだろう。天満プランタンでコーヒーをすすりながら、今後の防寒対策について考えを巡らせた。